ストリングス音源:”Cinematic Studio Strings” レビュー バランスのいいリアル系弦合奏音源

音の良さ、レガートの美しさ、操作性、汎用性、そして価格。
そのどれをとっても優れている”Cinematic Studio Strings(CSS)”は、現在の弦楽器音源界における優等生的ポジションの音源です。
Kontakt音源ですが、無料版のKontakt Playerでも動作するのもポイントです。
詳しく見ていきましょう。

目次

レビュー

全般

この音源の最大の特徴として、非常に使いやすいことが挙げられます。
Kontakt自体の操作性がいいことももちろんあるのですが、例えばパッチが楽器ごとで分かれているのみであったり、アーティキュレーション(奏法)が直感で分かりやすくなっていたり、といったところですね。
最近でこそCSSのような操作性、かつ良音質な音源は増えてきました。
Tokyo Scoring Strings(TSS)やSonokinetic Orchestral Strings(SOS)、Modern Scoring Strings(MSS)などが有名でしょうか。
ですが、CSS発売当時は本当に少なかったと思いますし、現在でも使いやすさならトップクラスだと思います。
音がいい音源は他にもあったのですが、操作性との両立ができていなかった印象があるんですよね。

なお、説明欄から動画内のMIDIファイルがダウンロードできます。神か?

音も個人的にはとてもいいと思います。若干暗めではありますが、かえってそれが美しさに繋がっているのがいいですね。
メロを歌わせたときのレガートも大変良いです。これらはぜひ試聴してみてください。

欠点

ここまで褒めちぎっておいて何ですが、残念ながら完全無欠の音源というわけではありません。
使っているうえで感じた欠点がこちら。

  • Divisi(分奏)がない
  • 早いレガートが苦手
  • J-POPに使うには人数と残響が多め

Divisiがないことに関しては、そもそもの人数が10-7-7-6-5と(海外基準では)中規模編成であり、音源名にも”Cinematic”とあることから、必要ないと判断されたのかな?と勝手に推測しています。
ただ、それにしても欲しかったなあというのが本音ですね。
ローエングリン前奏曲のような、複雑なオーケストレーションを実践するときにだいぶ不便ではあります。

他二点に関しても欠点といえば欠点なのですが、実は解決法があります。
それは、ソロ弦を重ねることです。
これはシンプルですが効果的で、簡単に音の芯や距離感を調整でき、レガート問題もある程度なんとかなります。
参考までに、CSS+ソロ弦(Joshua Bell Violin)で打ち込んだ過去作がこちらです。

「約束」2番サビ後より抜粋

ここまでできたら十分なのでは?と個人的には思います。
さらにメーカー側はこの問題を知っていたのか、”Cinematic Studio Solo Strings”という、まさにこのために存在するかのような音源まで用意しています。
これはセットで買うしかないですね。買いましょう。
(私は持っていません。欲しいねえ……)

試聴

おわりに

定価は$399。決して安くはありません。
しかし、ストリングス音源に悩んだらとりあえずコレ、といえるだけのポテンシャルはあると思います。
ポップスにしか使わないよ!という方ならSpitfire Chamber StringsやTSS、LA Scoring Stringsの方がいいかもしれませんが、オケも劇伴も書きたいなら持っておいて損はないでしょう。
一家に一台CSS、いかがでしょうか。

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