この記事は【後編】になります。
前編では他の打楽器音源との比較などを書いていますので、そちらもぜひ読んでくださいね。
→パーカッション音源:Orchestral Tools “Berlin Percussion” レビュー【前編】 購入へ至る経緯と他打楽器ライブラリとの比較
レビュー
音について
公式ページのAudio demosタブから聞けるデモがとてもとても良い曲なので、ぜひ聴いてみてください。
特に3曲目の”A Tamer’s Tale”がお気に入りです。
また、公式のウォークスルー動画にて、BPCに収録されているほぼ全ての音が聴けます。
この手の音源にしてはかなり親切ですね。
そのぶんパート5まであり非常に長いので、興味のある楽器のところだけ見るのがいいんじゃないかなと思います。
それでは、私が実際に曲中で使った例がこちら。
この頃はまだSINE版が出ていないため、ティンパニだけは別の音源を使っています。
逆に言えばそれ以外の打楽器は全てBPCで打ち込んでいます。
2番Aメロのチェレスタとか、Cメロのボンゴの刻みとか、なかなか良い雰囲気が出ていると思うのですが、いかがでしょうか。
ただ、あまりにも音が細くクラシカルすぎて現代的な迫力には欠けてしまいます。
仕様など
BPCの収録楽器数は決して多い方ではありません。
見た感じではSpitfire Percussionと同等か、より少ない印象です。
しかし主要打楽器であるティンパニ・バスドラム・スネア・シンバルの4つにおいて、BPCは他音源を圧倒する種類を収録しています。
ティンパニはマレットが4種類(なんとバロックマレットも!)あり、バスドラムも28″・34″・36″・40″の4種類、スネアはなんと8種類(一部メーカー別)、シンバルはサイズ別にZildjian2種・Meinl1種・Sabian1種と、充実しまくっています。
そのほか鍵盤系のマレットは2~3種から選べたりと、音作りの幅はかなり広めです。
私みたいな楽器オタクはこれだけで購入を検討するレベルです(実際、購入の決め手になった要素のひとつです)。
ただし、これに起因する欠点もあり……。
パッチがインチ数で分けられてるならまだいいんですが、スネアとシンバルはメーカーで分けられてるので、ぱっと見でどんな音がするのかいまいち分かりにくいんですよ。
打楽器奏者の方なら逆に分かりやすいのかもしれません。
前編にも書きましたが、マイクポジションは4~6あります。
数としては十分ですし、非常に響きのいいスタジオで録られていることもあってオーケストラと混ぜるのには適しています。
逆にクローズドの音でもそれなりに残響が乗ってる感じはするのでご注意ください。
そういう音は単品で揃えるか、Strezovのやつがいいんじゃないかなと思います。
そして仕様上の最大の欠点は、ベロシティレイヤーの少なさです。
打楽器のくせに3~5程度しかなく、ものによっては音の違いが分かりやすすぎて繊細な表現ができなかったりします。
ただ、どうもこれは総合打楽器ライブラリ全般に言えることらしいので、気になる方は単体音源を検討したほうが良さそうです。
私も鍵盤系はSoniccoutureのものを別途購入しました。これもいずれ記事にするかもしれません。
総評
なんだか欠点ばかり書いてしまったような気がしますが、私はこの音源をとても気に入っていますし、これからもオーケストラの一軍打楽器ライブラリとして頑張ってもらいたいと思っています。
ただ、あらゆる面で癖の強い音源ではあるので、手放しに勧められるかと言われるとだいぶ怪しいですね。
楽器の知識がそこそこあり、かつクラシック寄りなJ.ウィリアムズ風オーケストラが書きたい方であれば難なく扱えると思いますので、そういう方にはおすすめです(いない)。
……発売からかなり経ってるはずなのに全然レビュー見ないの、こういうことなんだろうなあ。
それではまた。